何もしていないのに壊れた

 起床して枕元に置いてあるスマホに手を伸ばすと、ディスプレイに何やら英字が表示されていた。確かこれはファストブートモードとかいうもので起動したときに表示される画面だ。なぜそんなものが表示されているのだろう、と思いながら電源ボタンを押して再起動を試みる。しかしいくら押せども画面が点灯することはなかった。何回も押して、30分ぐらい長押ししても、うんともすんとも言わない。間違いなくお亡くなりになられている。

 何もしていないのに壊れてしまった。枕元に置いていたといっても、置いていたのは床で、ひどく寒い朝だったから冷気や結露によってショートしてしまったのかもしれない。身の回りのものが色々と故障しはじめていて、それでも何とか使えるレベルだからとそのほぼすべてを調子の悪くなったまま使っていたけれど、さすがにスマートフォンが使えないとなると生活が怪しくなってしまう。もしかしたらと思い、以前使っていたiPhone6という鈍器にSIMカードを差し替えて起動してみるも、どうやらSIMロックがかかっているようで使えなかった。僕が愛用していたのはPixel3で、心なしかバッテリーの持ちが悪くなったこと以外は不便を感じさせないような動作感だったので、もう少しは使えるかと思っていた。もうセキュリティアップデートも提供が終了しているから、買い替えどきと言えばそうなのかもしれない。

 ともかくスマートフォンを新調しなければいけない。以前スマホを買ってから、PCをMacに変えていたし、タブレットiPadを使っているので、次はiPhoneにしたほうが同期の都合がいいかなと思っていてiPhoneについて調べたのだが、やはり高い。下手なPCが買えてしまうぐらい高い。Androidの操作感にすっかりと慣れてしまったこともあるし、そもそもそれほどスマホとPCとタブレットを同期させたりなどしないという言い訳もあるから今回はiPhoneは見送ることにする。加えて、EUからの圧力により次回からのiPhoneでは端子がType-Cになるかもしれないという話もあるから、そもそもいまはiPhoneを買うべきではないかもしれない。

 Amazonで安くていいスマホがないかなと調べると、Xiaomiの『Redmi Note 11 Pro』がヒットした。Xiaomiは評判がよい。スペックを見てみたらなかなかコスパが高そうだった。これでいいかなと思ったけれど、この価格を出すならもう少し出してPixel6aを購入したほうがいいかもしれないと思い、Googleストアに飛ぶとちょうどセールをしていて、前述のスマホより安くなっていた。故障のタイミングでセールが行われているということに何やら作為めいたものを感じてしまう。しかしまさかGoogleが僕のスマホを遠隔で破壊するわけはない。ここは素直に幸運だったと思ったほうがいいかもしれない。綺麗なエメラルドみたいな色の機種があったので、それを注文した。前に爪切りを買ったときもエメラルド色のものを買った。僕は緑色が好きなのだ。

 名称にaとつくいわゆる廉価版ではあるけれど、Pixel3よりもスペック自体は格段とあがっている。惜しむらくはPixel6aは無線充電に対応していなくて、デスクに置かれているPixel standが無用の長物となってしまうことだ。とはいえ、性能もあがり、Felicaも使えて、これからもきちんとアップデートが行われることを考えると十分満足だ。突然の不要な出費ではあるけれど、いくつになっても新しいガジェットを買うのは楽しい。今週末に届く。