くくり博士とインターネット

大沢ういち著の『ゼッタイ良縁!くくり博士はめとらせたい』の1巻が発売されていたので購入した。

前作は18禁の大人の漫画で、今作はKindleでは18禁マークが付いていなかったから、てっきり一般的なコメディものかと思っていたら普通にエロいやつだった。

少子化対策として国家婚活プログラムというものが実施され、それのモニターに選ばれた人たちの話。
そこではマッドなサイエンティストが、婚活とは名ばかりの場所も時代も問わずにお似合いの相手を謎の技術で出現させるというパワー系縁結びが行われている。

この著者は本を現在2冊刊行しているのだけれど、僕は個人的にこの作者のことを小学生のときから知っている。

僕は小学生のとき、絵を描くこととインターネットが大好きな子供で、いつもどこかの個人サイトに設置してあったレンタルのお絵かき掲示板でイラストを描いていた。友人とお絵描きチャットをして遊んだりもしていた。

僕の家は「親がいない時はパソコンを使用してはいけない」という決まりがあって、僕は親が帰ってくる夕方あたりになると玄関で親の帰りを待ち、親が帰宅するなり開口一番「パソコン使っていい?」と聞くような気持ちの悪い子供だった。

そんな中で出会ったサイトがある。

もう十何年も前のことなので、そのサイトにどのようにしてたどり着いていたのかも覚えていない。
そこには一次創作の同人漫画が掲載されており、アルカノイドを題材としたもの、タイムスリップもの、無声漫画などがあった。
トップページには管理人の日記があり、もちろん近況報告もあったのだが、たまに小噺のようなものが書かれていた。

僕はそこに掲載されていた漫画も文章も好きで、毎日のようにアクセスして何か更新がある度に喜んでいたものだ。
一枚絵も色使いや画面構成が巧みで、僕もこんな感じのイラストを描きたいと憧れを抱いていた。(いまだに描けるようにはなっていない。)

ずっと通っていたサイトだけれども、思い返して見れば掲示板に何かを書いた記憶もないし、ファンレターを出したこともない。僕が一方的に半ばストーキング気味にただひたすら通っていた。

そして僕も中学生になったり、高校生になったりして行くうちに、比例してそのサイトを訪れることも減っていってしまった。
大学生のときに「そういえば」と思い出してTwitterで検索をしてその人のアカウントを見つけてフォローさせていただいている。

長々と語ってしまったけれども、そのサイトの管理人と本の作者はあくまでも別人である。

今回出版された『くくり博士はめとらせたい』でも、あのころサイトに掲載されていたような掛け合いやノリがたくさんあって、これはノスタルジーなのかわからないけれど、この雰囲気はやっぱり好きだなと純粋に思った。別人だけど。

完全に感想とは名ばかりの自分語りのような記事になってしまったけれど、何だか懐かしくなって書いてしまったので、まあいいか。