電子ペーパータブレットを買おうとした

 ※結局買ってない。
 先週、スマートフォンでDiscover(ホーム画面で左にスワイプすると表示される最適化された記事一覧)を見ていると、電子ペーパータブレットの新商品の記事があった。BOOXというブランドで「Go 7」と「Go 10.3」というものが発売するらしい。
 電子ペーパータブレットというものがあるということは小耳に挟んでいたのだけれど、実際にどのような商品が出ているのかまでは知らなかった。僕は普段本を読むときはKindleのpaperwhiteを使用している。6.8インチのディスプレイで文章も読みやすく気に入っていた。普段は横向きにして小説を読んでいるのだけれど、漫画はさすがに横向きだと厳しくて、漫画を読むときはいちいち設定を縦方向に変えて読んでいた。もしかすると10インチほどの電子ペーパーを購入すれば漫画も横向きで見開きで読むことができるのではないかと思った。
 それに電子ペーパータブレットにはどうやらペンが付属してきて、紙と同感覚でメモをすることができるらしい。もっと周りのことをメモして忘れないようにして生きていきたいと思っていたところだった。今まで興味がなかった商品だけれどGoogleのサジェストにまんまと引っかかって、物欲が沸いてきてしまった。
 しばらくはYouTubeやX、noteなどで情報をあさって過ごした。電子ペーパータブレットという、あまり一般受けはしない商品であるからか、得られる情報はあまり多くはなかった。そのなかで一番良さそうだと感じたのが「BOOX Note Air 3 C」という商品だ。10.3インチもの大画面で、しかも電子ペーパーのくせにカラーらしい。GooglePlayストアが使えるから、好きなアプリをインストールすることができる。これは買うべきかと頭を悩ませた。値段は86,800円ほど。かなり高い。
 どうやら池袋のビックカメラに製品が陳列されているとの情報を得たので、試しに行くことにした。池袋駅に着いて西口改札を出ると、池袋西口公園があって何やらイベントが行われていた。横目で見たけれど何のイベントなのかさっぱりわからなかった。
 そのままビックカメラ池袋西口店のタブレット売り場に行って、フロアを往復したのだけれどどこにも見当たらない。富士通のQUADERNOという筆記専用の電子ペーパー端末はあって、それの試し書きは行ったのだけれど目当ての商品はどこにもない。QUADERNOの近くにあったpomeraをおもむろに開いたら、何やら衒学的な文章が打ち込まれていたのですぐに閉じた。あらためてスマートフォンビックカメラのサイトを開いて在庫を確かめたところ、カメラ・パソコン館という場所にあるらしい。池袋にはビックカメラが点在していて、どこに行けばいいのか判断するのが難しい。ついこないだまで北の政令指定都市に住んでいて、そこもまあまあ栄えているなと思っていたのだけれど、東京の町は情報があまりに多く、どこに何があるのかわからないままでいる。池袋の西口に東武があって東口に西武があることはいまだに納得がいっていない。多分これは東京都民からしたら使い古されたネタなのだろう。
 というわけで西口に来たのに東口までわざわざ出て、カメラ・パソコン館に行った。五階に行くと、電子ペーパータブレットの棚がこじんまりとあって、そこにお目当ての商品がちゃんと陳列されていた。そのタブレットを持って、思ったよりも薄いことに気づいて好印象だった。しかしタブレットにお試しとして入っているドキュメントが英文のものだけで、実際に小説を読んだり漫画を読んだりしたときにどういう感覚になるのかがわからなかった。ただ電子ペーパータブレットの目的として、本を読むこと以外にもメモががあった。さて、文字を書いてみようと思ったけれど、ペンがなかった。しばらく棚に目を走らせたけれどどこにもペンがない。どんな書き心地なのかまったくわからない。ディスプレイの表面をさわってみたら少しざらざらしてた。とはいえペンで書いたらどうなるかはわからないから意味のない行動だった。あとやはり思ったよりもレスポンスは悪かった。電子ペーパーということでそもそもレスポンスは良くはないと思っていたのだけれど、レビュー動画や記事などでは「とうとう実用的になった!」と喧伝されていたので、もっと良くなっているものだと期待しすぎてしまっていたのだった。
 決して安くはない商品だから、せめて書き心地を確かめてから買いたかった。新宿のヨドバシカメラにも同商品が陳列されているという情報は事前に得ていたので、また電車に乗って新宿に行った。
 新宿で降りて、今度は間違えないようにスマートフォン電子ペーパータブレットが陳列されている場所を検索してから向かった。新宿にはヨドバシカメラが点在していて、調べないとどこに行けばいいのかわからない。
 ヨドバシカメラ電子ペーパータブレットの売り場に行った。目当ての商品はあったのだけれど、ここにもペンがなかった。もうほとんど買うつもりで来ていたので書き味は度外視して買ってしまうべきかと商品の前で悩んだ。そもそも日本語の文献も試し読みできていないから、レスポンスが思ったよりも良くないということぐらいしか確認できていなかった。しばらく悩んでいたのだけれど、ふと「この商品が9万円ではなく5万円もきっと悩んでいたのだろうな」と思ってしまった。そもそも9万円という価格も円安の所以で、円安でなければもっとずっと値が張らなかったはずだ。今は買い時ではない。円安が落ち着いて(いつ落ち着くんだ?)、電子ペーパータブレット自体もよりよいものになったら買おうと心に決めて、近くの松屋でチーズカレーを食べて帰宅した。
 しばらくはずっと使っているiPad第6世代とApplePencil第1世代の組み合わせで生きていく。だいぶ前に買ったはずなのにまだバリバリに動く。バリバリに動くのに今までメモなんてろくに取っていないから、きっと電子ペーパータブレットなんて買ってもすぐに使わなくなっていたのだろうなと思った。