小話

眠るきみ

「どこにいますか?」 電話で僕はウズメさんに尋ねる。電話の向こうからは要領を得ない返答があるばかりで、一向に彼女を探す手がかりを掴めずにいた。 大型ショッピングモールのレストラン街で、平日の昼間だというのに人は多かった。年配の夫婦に、高校生…

ガールミーツレッドバルーン

赤い風船が空に浮かんでいた。その方に目をやると強い日差しで目が眩んでしまう。どうやら前を歩く少女が手放してしまったものらしい。少女は上昇していく風船を涙混じりにただ見つめることしかできていなかった。 不意に理彩が風船を目指して駆けだした。風…